セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)は、黄色い花をつける植物で、古代ギリシアで最初に医薬品として利用したという記録があります。

セイヨウオトギリソウは、6月下旬の洗礼者ヨハネの祝日前後に開花するため、洗礼者ヨハネにちなんで命名されたと言ういわれがあります。

歴史的に、セイヨウオトギリソウは、精神疾患や神経痛の治療に使用されたり、マラリアの治療、鎮痛剤、創傷や火傷、虫刺され用の軟膏としても使用されてきました。

今日では、民間療法または伝統療法としてうつ病、不安神経症、睡眠障害に用いられています。

最近では、軽度から中度のうつ病や、更年期障害、自律神経失調症、ストレスの緩和、ダイエット時のイライラ感などに効果があるとして人気の高いサプリメントです。

セイヨウオトギリソウは、うつ病薬として認可されていません。

妊婦は、子宮の筋肉の緊張が強くなり流産のリスクが高まるため、このサプリメントを摂取するのは非常に危険です。

セイヨウオトギリソウの花はハーブティーとして用いられるほか、濃縮抽出物の錠剤やカプセルとして市販されています。

セイヨウオトギリソウは多くの薬剤との相互作用を有し、薬剤の意図する効果を阻害することが研究で明らかにされていることから使用には注意が必要です。

セイヨウオトギリソウの影響を受ける可能性がある薬剤としては、

抗うつ剤
経口避妊薬
シクロスポリン
ジゴキシン
インジナビルおよびその他のHIV感染症治療薬
イリノテカンおよびその他の抗がん剤
抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタールなど)
ワルファリンおよび類縁の抗凝固剤

などがあります。

またセイヨウオトギリソウは、日光に対する感受性を高める可能性もあり、その他の副作用には、不安感、口渇感、めまい、消化管症状、倦怠感、頭痛または性的機能障害などがあります。

セイヨウオトギリソウに含まれる成分は、ある種の薬物の効果を減弱させる作用があります。

このハーブに含まれる成分が私たちの体内に存在する薬物代謝酵素(CYP1A2やCYP3A4)や薬物排出輸送担体(P-糖タンパク質)を増加させ、排泄を促進させるからです。

セイヨウオトギリソウの効果は、長期にわたって服用していた場合に起こる可能性が高く、さらに服用を中止してもすぐに効果が消えるわけではありません。

そのため影響のある薬剤を服用している人はは、セイヨウオトギリソウの摂取は控える必要があります。



切手は1981年ブルガリア発行の「薬用植物切手」でセイヨウオトギリソウが描かれています。



オトギリソウ.ブルガリア.1981



切手は1963年ユーゴスラビア発行の「薬用植物切手」でセイヨウオトギリソウが描かれています。



オトギリソウ.ユーゴ.1963


切手は1994年フィンランド発行の「花切手」でセイヨウオトギリソウが描かれています。



オトギリソウ.フィンランド.1994