ジギタリスは、オオバコ科ジギタリス属の総称で、狭義ではジギタリス属の特定の種を言います。
ジギタリスは地域毎に様々な名前を持つという、珍しい特徴を持っています。
西洋では暗く寂れた場所に生える不吉な植物としてのイメージがあり、いけにえの儀式が行われる夏に花を咲かせることからドルイド達に好まれると言われ、"魔女の指抜き"、"血の付いた男の指"、"妖精の帽子"、"狐の釣り鐘"、"死人の指ぬき"などと呼ばれていました。
1776年、イギリスの植物学者、地質学者、化学者、医師であるウィリアム・ウィザリング(1741~1799)は、ジギタリスの臨床試験を行い、強心利尿剤としての薬効を発見し以来強心剤としての薬効を利用してうっ血性心不全の特効薬としても使用されてきました。
ジギタリスにはジギトキシン,ギトキシンなどの強心配糖体が含有されており、心筋に直接作用してその収縮力を強め,刺激伝導系における伝導を遅らせて不応期を延長し,拍動数を減少させ,心室筋の自動性を亢進させるなどの作用があることから、うっ血性心不全の治療に使われてきました。
ジギタリスには全草に猛毒があり誤食には注意が必要です。
花が咲く前のジギタリスの葉は、コンフリーの葉に似ていることから誤って食べて中毒を起こした事例が報告されています。
ジギタリス中毒とも呼ばれる副作用としては、不整脈や動悸などの循環器症状、嘔気・嘔吐などの消化器症状、頭痛・眩暈などの神経症状、視野が黄色く映る症状(黄視症)などがあります。
今日ではジギタリスは化学的に合成されています。
日本薬局方にも記載されていましたが2005年1月の第14改正日本薬局方第二追補で削除されています。
切手は1965年チェコスロバキア発行の「薬用植物切手切手」で、ジギタリスが描かれています。
切手は2019年ドイツ発行の「花の決定版切手」で、綺麗に咲くジギタリスの花が描かれています。
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