今回から数回に渡って身近に咲く植物で有毒な植物について解説していきます。

第1回目に梅雨時期に咲く紫陽花を取り上げてみました。

紫陽花は、日本が原産の落葉低木ガクアジサイやそれを品種改良した園芸植物の総称です。

原産地は日本で、ヨーロッパで品種改良されたものはセイヨウアジサイと呼ばれています。

研究の結果、中国四川省産紫陽花からは毒が検出されたのに対し、京都産の紫陽花からは毒が検出されません。

要するに品種や個体によって毒の有無や成分、含有量が違うのではないかと考えられています。

これまでに見つかったと報告されている毒成分は、"青酸配糖体"という植物由来の有毒成分と、"抗マラリア成分"、"嘔吐性アルカロイド"です。

毒を含んだ紫陽花の葉っぱや茎、花を食べた場合、嘔吐や痙攣、めまい、顔面の紅潮、歩行のふらつき、呼吸麻痺、昏睡などの症状が現れます。

しかし特に死亡例は報告されていません

2008年に茨城県の飲食店の料理に添えられていた紫陽花の葉を食べた客10人のうち8人が、食後30分ほどで吐き気やめまい、嘔吐などの中毒症状を訴えています。

更に同年、大阪の居酒屋でだし巻き卵の下に敷かれていた葉を食べた客が、40分ほど経った後に嘔吐や顔面の紅潮といった中毒症状を起こしています。

2011年にも、秋田県の仕出し弁当に添えられた紫陽花が原因の食中毒が起きています。

しかしいずれも重篤までには至らずに2~3日以内に全員回復しています。

紫陽花に含まれる有毒成分は、口に含まないかぎり危害を及ぼすことはありませんし、葉に含まれる毒の含有量は少ないため、よほど大量に食べないと致死量に達することはないとされています。

【紫陽花の色の変化】

紫陽花は育った土壌によって花の色が変化します。

土中にアルミニウムが多く含まれていると、アルミニウムとアントシアニン色素が結合して紫陽花は青色になりますが、逆に土中のアルミニウムが少なければ、紫陽花は薄紅色やピンク色に近い色に変化します。

要するに土を酸性にすれば青色の紫陽花が、中性~アルカリ性にすれば薄紅色やピンク色の紫陽花が育つのです。

ちなみに、青いアジサイを中性~弱アルカリ性の土に植え替えると、薄紫色のアジサイに変化します。

紫陽花の切手は日本を含めて世界各国から発行されていますが、ここでは日本発行の二枚を紹介しておきます。

切手は2007年日本発行の「民営会社発足記念切手」で、紫陽花が描かれています。



紫陽花.人.2007



切手は2017年日本発行の「おもてなしの花シリーズ 第8集」の中の1枚で、紫陽花が描かれています。



紫陽花.2017


写真は我が家で毎年咲く紫陽花と白紫陽花(アナベル)です【2020年6月撮影】




我が家の紫陽花