サーブ(メスのジャーマンシェパード)は1977年(昭和52年)4月8日に生まれ、愛知県名古屋市の中部盲導犬協会で訓練を受けた後、岐阜県のマッサージ治療院を営む男性を主人としました。
1982年(昭和57年)1月25日、岐阜県郡上郡美並村(現・郡上市)の国道156号で主人を誘導中に、雪でスリップして突っ込んできたトラック、その時サーブはハーネスを振り切りトラックに飛び込み8メートル以上も飛ばされ左前足に大怪我をしてその傷が原因で左前脚を切断することになります。
サーブが自身のみを投げ出し庇ったことから主人はほぼ無傷でした。
この事故は新聞で大きく取り上げられ話題になりましたが、当時は盲導犬に対する認知度が低かったこともあり、怪我を負ったサーブに対して保険金や治療費が支払われることはありませんでした。
しかし事故から1年5ケ月後の1983年6月、サーブの活躍を記した『がんばれ!盲導犬サーブ』が出版されると、徐々に世間の見る目が変わりサーブの献身的な振る舞いに、日本中の人々から励ましの手紙が届くようになりました。
そしてこの声援に呼応するかのように、地元の議員たちも「盲導犬への保険適用」と「国道への歩道設置」を目指して動き出します。
やがて大きなうねりとなり最終的に国にも伝わり、同年、サーブの事例が国会で取り上げられ、「盲導犬が事故にあった場合も自賠責保険が支払われる」という、新たな条項が法律に付け加えられました。
1985年(昭和60年)にはサーブと主人がアメリカ・テキサス州知事に招待されて「テキサス名誉州犬」の称号を受け、同年9月には中曽根康弘首相から功労賞を受賞しています。
「盲導犬が事故にあった場合も自賠責保険が支払われる」という偉業を成し遂げたサーブでしたが、怪我の影響で、すでに盲導犬としては働けなくなっていました。
しかし事故の後は、中部盲導犬協会で普及活動に貢献し、事故から6年後の1988年6月13日、老衰のため11歳で永眠しました。
サーブは名古屋市南区の長楽寺動物霊園に眠っています。
毎年お彼岸には慰霊祭が営まれ、多くの盲導犬ユーザーが集まります。
1986年(昭和61年)には、サーブを讃えるとともに交通安全の願いを込めて、当時の国鉄の名古屋駅前にブロンズ像が設置されましたが、JRセントラルタワーズの建設に伴い大階段が設置されそのためあまりにも目立たなくなったサーブ像を憂慮する声が上がり、市民からの要請により市議会で取り上げられ2003年(平成15年)になって久屋大通公園の栄バスターミナルへ移設され、道行く人々を優しく見守り続けています。
風景印は名古屋桜郵便局(〒457-0013愛知県名古屋市南区寺崎町20-14)のもので、盲導犬サーブと長楽寺盲導犬慰霊碑、サクラが描かれています。

なおこの銘板は、当時の中曽根康弘総理大臣の直筆です。
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