オリンポス十二神の一柱で、旅人、泥棒、商業、羊飼いの守護神であり、神々の伝令役を務め、能弁、体育技能、眠り、夢の神とも言われています。

全能の神ゼウスとアトラスの娘であるプレアデス(すばる星)の七人の娘の一人マイアを母として生まれたとされています。

特にゼウスの忠実な部下で、神話では多くの密命を果たしています。

ヘルメスは早朝に生まれ、昼にゆりかごから抜け出しアポローンの飼っていた雄牛50頭を盗んだとされています。

ヘルメスは自身の足跡を偽装し、さらに証拠の品を燃やして雄牛達を後ろ向きに歩かせ、牛舎から出た形跡をなくしてしまいました。

翌日、牛達がいない事に気付いたアポロンは不思議な足跡に戸惑うが、予言によりヘルメスが犯人だと知り激怒したアポロンはヘルメスを 見つけ牛を返すように迫るが、ヘルメスは「生まれたばかりの自分にできる訳がない」と白を切ったために、ゼウスの前に引き立てられる が自分は「嘘の付き方も知らない」と言い放った。

ゼウスはヘルメスに泥棒と嘘の才能がある事を見抜き、ヘルメスに対してアポロンに牛を返すように勧めました。

そしてヘルメスは牛を返すがアポロンは納得しないことから、ヘルメスは生まれた直後に洞穴で捕らえたウミガメの甲羅に羊の腸を張って作った竪琴を奏でて詩を歌いました。

その竪琴を欲しくなったアポロンは牛と竪琴を交換してヘルメスを許し、友好の証として自身の持つカドゥケウスの杖をヘルメスに送りました。

この時アポロンとお互いに必要な物を交換した事からヘルメスは「商売の神」と呼ばれ、生まれた直後に各地を飛び回った事から「旅の神」にも呼ばれています。

翼の付いたつば広の帽子・ペタソスを被り、サンダルにも翼が生えています。

ヘルメスの持つ杖の頭にはヘルメスの翼が飾られ、柄には2匹のヘビが巻きついています。

ヘルメスの杖はラテン語で「カドゥケウス」と呼ばれ、聖なる力を伝える者が携える、呪力を持った杖です。

2匹の蛇は光と闇、善と悪、天と地、太陽と月、男と女、陰と陽を表し、ヘルメスが杖を持つと2匹の蛇は螺旋状に上昇し二元性は統合されるとされています。

ヘルメスの杖は、よく医学のシンボルと間違われますが、医学のシンボルは「ヒポクラテスの杖」で、ヘルメスの杖は、欧米では「商業の紋章」として用いられています。

しかし「メディカル・カドゥケウス」という名称で2匹のヘビが巻きつく杖が、欧米の医療機関や、軍隊では医療部隊章として広く用いられています。

日本においても一橋大学では校章として使用されています。

切手は1968年オーストリア発行の「切手の日記念切手」で、カドゥケウスを持つヘルメスが描かれています。


ヘルメス.オーストリア

切手は1949年ジブラルタル発行の「UPU創設75年記念切手」で、カドゥケウスを持ち天空を駆け巡るヘルメスが描かれています。


ヘルメス.ジブラルタル