かつて全国各地に生息していたコウノトリが、絶滅してから30年余りが経過しました。

国内最後の生息地兵庫県豊岡市で、1955年からコウノトリ保護運動が始まり、1956年に特別天然記念物の指定となりましたが、1971年、日本国内最後の1羽が野外からその姿を消しました。

残念なことに日本固有のコウノトリはこのとき絶滅してしまったと考えられています。

その後保護と繁殖のため、豊岡市で昭和1965年から始められた人工飼育は、嬉しいことに1989年に初めてヒナが誕生して軌道に乗り、1993年には「コウノトリ野生復帰」の構想が生まれました。

その後、兵庫県、豊岡市および国土交通省等関係機関、そして地域住民が連携を図りながら、自然環境破壊等がもたらした絶滅の事象を再び繰り返さないように、コウノトリと共生できる環境が人にとっても安全で安心できる豊かな環境を再び作り出そうと人と自然が共生する地域づくりを目指すための「コウノトリ野生復帰推進計画」が展開されています。
 
こうした取組みの努力の結果が実り、飼育されてきたコウノトリは、110羽を超え、地域の環境整備も進みつつあり、2005年秋には、再び大空へ飛び立ち、周辺の市町村に飛来して、川や沼、田んぼで餌をついばむ姿が見られるようになり、子育ても順調にに進んでいます。

皆様方の地域にもコウノトリが飛来するのも近いと思います、見かけられたら暖かく見守ってあげてください。

日本国内にはコウノトリに関する伝承は多く存在しています。

兵庫県城崎温泉には、七つの外湯の一つにコウノトリが傷を癒していた事により発見したと伝説が伝わる「鴻の湯」があります。

よく間違えられるのは、ヨーロッパでは、"赤ん坊はコウノトリの嘴で運ばれてくる"、"コウノトリが住み着いた家には幸福が訪れる"という言い伝えがありますがこれはコウノトリではなく、シュバシコウ(Ciconia ciconia)です、ヨーロッパにコウノトリは生息していません。

「コウノトリ」と「シュバシコウ」は同じコウノトリ目コウノトリ科の仲間ですが、見た目は非常によく似ています。

コウノトリとシュバシコウの違いは、コウノトリのくちばしが黒いのに対して、シュバシコウのくちばしは赤いのが特徴です。

シュバシコウが“赤いくちばしのコウノトリ”という和名をつけられていることから、近似していることがお分かりと思います。

切手は2005年日本発行の「コウノトリ野生復帰切手」で、大空を勇壮に飛ぶコウノトリが描かれています。

コウノトリの背で微笑む妖精は、植物や生き物を見守り育む精霊で、「幸せを運び、家族を大切にする愛情深さ」の象徴であるコウノトリと一緒に、人と自然の共生に向けた未来への道案内をしてくれると言う想いを表現しています。


コウノトリ.2005

切手は2020年日本発行の「史跡名勝天然記念物保護100年記念切手」で、大空を飛ぶコウノトリが描かれています。


ウノトリ.2020