利根川 進(1939~)は、日本の生物学者で、「抗体の多様性の生成の遺伝学的原理の解明」によってノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

彼の「抗体の多様性の生成の遺伝学的原理の解明」の内容は、非常に難解で当時取材した記者団は『トネガワの研究はいかにすごいのか?』と質問を投げかけました。

その時のノーベル賞選考委員会の委員は、"これは医学界の大きな謎を解明した、100年に一度の偉大な研究です"答えたと言われています。

この受賞から遡ること100年前の1889年、北里柴三郎は当時絶対不可能と言われていた破傷風菌の純粋培養に成功し、世界を驚かせたことは前にも紹介しています。

さらに北里は破傷風菌の毒素を無力化する「抗体」を発見し、血清療法を確立しています。

しかし残念なことに北里はノーベル賞を受賞すること無く、彼の共同研究者のベーリングが受賞することになります。

利根川の研究は、血液成分のひとつであるリンパ球のB細胞は、生体内に侵入した細菌なり、ウイルスに対する抗体を作ることにより、次にこれらが侵入してきた時には生体は簡単にこれらの侵入者撃退してしまいます。

これが免疫で、どのような異物が生体内に侵入しても、B細胞はそれに応じた抗体を作ることができ、その種類は100億を超えること考えられています。

この「抗体多様性の謎」は、北里の時代から未解決のままでしたが、利根川が見事に解明したわけです。

利根川は、遺伝子情報はDNAに書き込まれており、一生その形は変わらないため、指紋のようにその人を特定する決め手になるとされていますが、利根川は「B細胞だけは自らの抗体遺伝子を自在に組み替えて、無数の異物に対応する無数の抗体を作ることができる」ことを証明した訳です。

利根川のノーベル賞の受賞が発表された時、先輩の研究者から届いた一通の祝電には次のように書かれていました。

「北里が始めたことを、君が完結させた」


切手は1995年ガンビア発行の「ノーベル賞受賞者記念切手」で、利根川進が描かれています。


利根川1


切手は1995年ウガンダ発行の「ノーベル賞100年記念切手」で、利根川進が描かれています。


利根川2



切手は2005年ギニアビサウ発行の「ノーベル生理学・医学賞小型シート」で、左下に利根川進が描かれています。


利根川3