日常生活で何気なく口にしている食べ物にも、驚きの歴史や科学のドラマが隠されています。知っていればちょっと自慢できる、身近な雑学を楽しくお届けするシリーズ。

さあ、知の扉を開けてお進みください。

第二回目のテーマは、みんな大好き「バナナ」です。あの甘くて柔らかいフルーツから「種」が消えた、驚きの進化の秘密に迫ります。

1. バナナの真ん中の「黒い点」、あれは何?

普段私たちが食べているバナナには、硬い種がありませんよね。輪切りにしてみると、中心部にポツポツと小さな「黒い点」が見つかりますが実はこれこそが、バナナの種の「なごり(退化して小さくなったもの)」なのです。

大昔、地球上に自生していた野生のバナナには、小石のように硬くて大きな種がぎっしりと詰まっていました。

現在でも東南アジア(フィリピンやマレーシアなど)のジャングルに行けば、そうした「種だらけの野生種」に出会うことができます。

2. 種が消えた理由は「奇数」の染色体マジック

では、どうやってあの種のないバナナが生まれたのでしょうか? ここには、生物の根幹である「染色体」のミステリーが関係しています。

◎本来の姿(種ありバナナ):野生のバナナは、人間と同じように染色体を2組持つ「2倍体」です。ペアできれいに分かれるため、正常に種を作ることができます。  

◎突然変異の誕生(種なしバナナ):あるとき、突然変異によって染色体を3組持つ「3倍体」のバナナが偶然出現しました。  

植物や生物において、この「3倍体(奇数)」になると、細胞分裂の際(減数分裂)に染色体をきれいに半分こに分けることができなくなりその結果、受精して「種子」を形成することが不可能になってしまったのです。

「種ができないなんて、植物にとっては一大事(絶滅の危機)」ですが、人間にとっては「食べやすくて最高に都合が良い」形でした。

古代の人々や農家は、この偶然生まれた「3倍体の突然変異株」を見逃さず、株分けや挿し木などの栄養繁殖によって大切に増やし続けた結果私たちが今食べているバナナは、すべて人間が大切につないできた奇跡のクローンなのです。

3. 世界の切手に描かれた、バナナの歴史とロマン

甘くてエネルギー源としても優秀なバナナは、世界中の人々の生活を支えてきた歴史から、美しい切手のモチーフにも選ばれてきました。

サントメ・プリンシペ(1981年発行「果実小型シート」):熱帯の太陽を浴びて、木にたわわに実る瑞々しいバナナの姿が鮮やかに描かれています。


バナナ.サントメ・プリンシペ.1981


モルディブ(1975年発行「トロピカルフルーツ切手」):南国の青い海や風を感じさせるような、美味しそうなバナナの群生がデザインされています。

バナナ.モルディブ.1975



サモア(1968年発行「地域農業の発展切手」):農業の発展を記念する切手らしく、バナナの断面がリアルに描かれています。その中央には、まさに今回ご紹介した「黒く小さな種の痕跡」がしっかりと確認でき、植物学的にも見応えのある一枚です。  


バナナ.サモア.1968


何気なく食べているバナナの断面にある小さな黒い点は、植物の数奇な運命と、人類の知恵が作り上げた歴史の足跡でした。

次にバナナを食べる時は、その中央の黒い点を見つめながら、太古のジャングルや突然変異のロマンに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

次回の「知って得する話」も、どうぞお楽しみに!