私たちの日常に溢れる医学用語や身体の部位名。実はその多くが、数千年前のギリシャ神話の登場人物たちの物語に深く根ざしていることをご存知でしょうか?

第1回目は、誰もが一度は耳にしたことのある「アキレス腱」の物語をご紹介します。

1. なぜ「かかと」が致命的な弱点なのか?

足のかかとからふくらはぎへと続く、人体で最も強力な「アキレス腱」。その名前の由来は、ギリシャ神話最大の英雄アキレウス(英語読みでアキレス)にあります。

神話によれば、アキレウスの母である女神テティスは、息子の不死身の肉体を授けるために、彼を冥界の川「ステュクス」に浸しましたが、母が息子を掴んでいた「かかと」だけは水に浸からず、唯一の弱点として残ってしまったのです。

物語の結末で、アキレウスは敵の放った矢がその「かかと」を射抜き、命を落とします。

この物語から、「アキレス腱」は「致命的な弱点」や「最大の急所」の代名詞として、現代の医学用語でも使われるようになりました。

2. 「アキレス腱」と「弁慶の泣き所」

この言葉が持つ「誰にでもある唯一の弱点」というニュアンスは、日本語の「弁慶の泣き所(脛)」と非常に似た響きを持って強靭な戦士であっても、特定の部位を突かれると無力化してしまうという教訓は、古今東西、神話や伝承に共通する人間的な脆さへの鋭い視点と言えるでしょう。

3. 切手が伝える英雄の日常

1983年にギリシャで発行された「ホメロスの叙事詩切手」には、意外なアキレウスの姿が描かれています。

アキレス.ギリシャ.1983


図案の背景: 紀元前6世紀の陶芸家エクセキアスの名作「黒像式アンフォラ」を基にした図案です。

紀元前6世紀の陶芸家エクセキアスによって制作された「黒像式アンフォラ(壺)」に描かれたギリシャ神話の英雄であるアキレス(アキレウス)とアイアース(アヤクス)が、戦いの合間に陣地でボードゲーム(当時のダイスゲーム)に興じている場面が描かれています。

不死身の伝説を持ちながら、戦いの合間に遊びを楽しむアキレウスの姿は、彼がいかに人間味あふれるキャラクターとして古代ギリシャの人々に愛されていたかを教えてくれます。

切手は1983年ギリシャ発行の「ホメロスの叙事詩切手」で、アキレウスが描かれています。



アキレウス.ギリシャ.1983




切手は1959年ギリシャ発行の「国際赤十字切手」で、パトロクロスに包帯を巻くアキレウスが描かれています。

1959+ アキレスの手当.ギリシャ.