イギリス海軍の歴史そのものと言っても過言ではない、至高の英雄がホレーショ・ネルソン(1758~1805)です。
激闘の海戦史: ヨーロッパを席巻していたナポレオン軍。そのイギリス本土上陸の野望を完全に打ち砕いたのが、かの有名な「トラファルガーの海戦」でネルソンは巧みな艦隊運動でフランス・スペイン連合艦隊を圧倒。激戦の最中、敵の銃弾に倒れ劇的な最期を遂げましたが、彼の見事な采配は今なおイギリス海軍の「魂」として生き続けています。
🖼️ この歴史を物語る「切手」
2005年、ネルソンの偉業からちょうど200年を記念して、イギリス王室属領から珠玉の小型シートが発行されました。
左の切手にはトラファルガーの海戦を象徴する二人の人物の横顔が並んでいます。
右側:ホレーショ・ネルソン提督(Horatio Nelson)で、言わずと知れたイギリス海軍の総司令官。トレードマークである二角帽子をかぶったお馴染みの肖像です。
左側:ジョン・キリアム(John Quilliam)はマン島出身の海軍将校で、トラファルガーの海戦の際、ネルソン提督の圧倒的なフラッグシップ(旗艦)であった「ヴィクトリー号」の操舵士(ファースト・ライテナント:第一太尉)を務めていました。
激戦の最中、ヴィクトリー号の舵輪が破壊された際、彼は船底の困難な環境下で見事に臨時の舵を操り、艦の窮地を救った現場の最高功労者です。
右の切手にはフランス軍の銃弾に倒れたネルソン提督が、甲板の上で部下たちに支えられている有名なシーンをベースに描かれ、ジョン・キリアムらが提督を介抱し、最期の言葉を交わすドラマが内包されています。
切手シート中央に堂々と描かれているのは、まさに巨艦「ヴィクトリー号」をはじめとするイギリス海軍の戦列艦で荒れ狂う波としぶき、遠くに霞む煙が、激しい戦闘のリアリティを物語っています。
このシートは、イギリス海軍史において最も神聖視されている「ネルソン提督の最期」と「伝説の信号旗」を見事に融合させたデザインになっています。
シートの左半分には、銃弾に倒れたネルソン提督が息を引き取るまさにその瞬間の船内の様子が描かれています。
これは、画家ベンジャミン・ウエストやアーサー・ウィリアム・デヴィスらが描いた有名な歴史画をモチーフにしています。
横たわるネルソン: 白い布に包まれ、今まさに最期を迎えようとしているネルソン提督の姿があります。
見守る部下たち: 提督の手を握りしめ、あるいは悲痛な面持ちで寄り添うのは、旗艦ヴィクトリー号のハーディ艦長や軍医、そして周囲の将校たちです。
ネルソンはこの薄暗い船底(甲板下)で、イギリス軍の勝利の報告を聞いた後、「神に感謝する。私は義務を果たした」という言葉を残して息を引き取りました。
右側の切手本体には、激戦の最中にあるネルソン提督の旗艦「ヴィクトリー号(HMS VICTORY)」が凛々しく描かれています。
3本マストにびっしりと帆を張り、側面の大砲から硝煙を吹き上げながら進む戦列艦の姿は、帆船ファン・海戦ファンにはたまらない迫力です。
更にシートの最上部には、世界中の海軍で今なお語り継がれる高名なメッセージが英語で刻まれています。
"England expects that every man will do his duty"
(英国は各員がその義務を果たすことを期待する)
これは、トラファルガーの海戦が始まる直前、ネルソン提督が全艦隊に向けて信号旗で掲げさせた有名な激励の言葉ですこの信号が送られたとき、イギリス艦隊の兵士たちの士気は最高潮に達したと言われています。
東郷平八郎大将が日本海海戦(1905年)の直前、連合艦隊旗艦「三笠」のマストに掲げさせた伝説の「Z旗」。そこに込められた緊迫の激励文は、ネルソン提督のこの名言から強い着想を得て作られたことで知られています。
どちらも、煙る大砲の煙や美しくも雄々しい帆船が描かれた、海戦ファンにはたまらないドラマチックなデザイン。イギリス周辺の島々だからこそ出せる、気品あふれるコレクターズアイテムです。


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