看護の世界に足を踏み入れる者が、その門出に唱える厳かな言葉それが『ナイチンゲール誓詞』ですが、この有名な誓いには意外な誕生秘話と彼女自身の「本音」が隠されていることをご存知でしょうか?

✨ 伝統の誕生:受け継がれる「看護の美学」

この誓詞は、1893年にアメリカの看護学校で、古代ギリシャの「ヒポクラテスの誓い」をモデルに誕生しました。

使命の源: 患者の命を救うために尽くす覚悟や、プライバシーの尊重、そして常に自己研鑽を怠らない姿勢が定められています。

世界への広がり: 今なお多くのアメリカの看護教育現場では、戴帽式や卒業式などのセレモニーで唱えられ、看護師としてのアイデンティティを形作っています。

意外な事実: 驚くべきことに、ナイチンゲール自身はこの誓詞の作成に関わっていません。 

実は、彼女の母国イギリスではあまり使用されていないという、文化的な違いも存在します。

🕊️ ナイチンゲールの「痛烈な一喝」

実は、彼女自身はこの「誓い」という形に対して、自著『看護覚え書き』の中で非常に真っすぐな苦言を呈しています。

「わざわざ誓いを立てる必要があるのか? 看護師という職業を、そんな次元の低いものと見なしているのか」

彼女にとって看護とは、失恋や厭世といった理由で選ぶものではなく、**「誓うまでもなく、確固たる志を持って取り組むべき崇高な職分」**でした。 

しかし、この誓詞の内容が彼女の思想と深く共鳴しているからこそ、今もなお世界中の看護師の指針として愛され続けているのです。

📜 時代を照らす言葉の力

その一文一文には、時代を超えて色褪せない気高い精神が宿っています。

生涯を清く過ごし、任務を忠実に尽くすこと

害あるものを絶ち、患者の秘密を他に漏らさないこと

医師を助け、託された人々の幸せのために身を捧げること

✉️ 記念切手が語る、200年の歩み

2020年、ジブラルタルから発行された「ナイチンゲール生誕200年記念切手」には、若き日の彼女の肖像が描かれました。 その静かな眼差しは、現代の医療現場で奮闘するすべての看護従事者たちを、今も見守っているかのようです。



ナイチンゲール.ジブラルタル.2020



切手は1939年ベルギー発行の「国際赤十字創立75周年記念切手」の中の一枚で、若き日のナイチンゲールの肖像が描かれています。



ナイチンゲール.ベルギー.1939



切手は1983年イギリス領ヴァージン諸島発行の「看護週間切手」の中の一枚で、ランプを持つ端正なナイチンゲールの肖像が描かれています。


ナイチンゲール.バージン諸島.1983



【ナイチンゲール誓詞一文】

われは此処に集いたる人々の前に厳かに神に誓わん。
わが生涯を清く過ごし、わが任務を忠実に尽くさんことを。
われは総て毒あるもの、害あるものを絶ち、悪しき薬を用いることなく又知りつつこれをすすめざるべし。
われはわが力の限りわが任務の標準を高くせんことを努むべし。
わが任務にあたりて、取り扱える人々の私事のすべて、わが知り得たる一家の内事のすべて、われは人に洩らさざるべし。
われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げん。