イスラエルには、諸外国の赤十字社・赤新月社に相当する**「ダビデの赤盾社」(マゲン・ダビデ・アドム)**という救護団体があります。

この団体は、伝統的に、白地に**赤いダビデの星(赤い六芒星)**を標章として使用してきました。

切手は1955年イスラエル発行の「ユダヤ赤十字社(Magen David Agom)創立25周年記念切手」で、救急車の側面と切手のタブにダビデの星が描かれています。


ダビデの星.1976.イスラエル


国際的な標章の制限とイスラエルの非承認

国際的な人道支援のシンボルである「保護の標章」は、ジュネーブ諸条約で「赤十字」と「赤新月」の2種類のみが認められていました(後に「赤獅子太陽」も使用停止)。

国際赤十字・赤新月運動は、これらの標章が宗教や政治に関係のない中立的な保護のシンボルであるとしています。

しかし、イスラエルの赤いダビデの星は、ユダヤ教およびイスラエルの象徴と強く結びついているため、長らく国際赤十字国際委員会(ICRC)から正式な保護標章としては認められていませんでした。

このため、ダビデの赤盾社は、長期間にわたり国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)に正式加盟することができませんでした。

「レッドクリスタル」の誕生による解決

この標章問題を解決するため、宗教的・政治的な意味合いを排除した中立的な第三の標章の必要性が高まりました。

2005年、国際的な外交会議で、**「レッドクリスタル」(赤のひし形)**が第三の標章として承認されました。

現在のルール:

ダビデの赤盾社は、国内では引き続き赤いダビデの星を使用できます。

国際活動を行う際や、ジュネーブ諸条約の保護を必要とする際は、レッドクリスタルを使用します。

さらに、ホスト国の了承があれば、レッドクリスタルの中に赤いダビデの星を組み込む形で標章を使用することも認められました。

この新しい標章の採用により、ダビデの赤盾社は2006年に国際赤十字赤新月社連盟への正式加盟が承認されました。

したがって、ダビデの星は、赤十字運動の正式な国際標章そのものではありませんが、イスラエル国内の救護活動において赤十字・赤新月と同じ役割を果たすローカルな標章であり、国際的な標章の歴史を変えるきっかけとなった重要なシンボルです。

切手は2021年イスラエル発行の「緊急・救助サービス切手」の中の一枚で、ダビデの赤盾社の職員が新型コロナ検査を実施している光景が描かれていますが、職員の左腕にはダビデの赤盾社のマークが見て取れます。


ダビデの赤盾社職員.2021.イスラエル