アンバーグリスは、マッコウクジラの腸内で生成される結石で古くから貴重な香料として珍重されてきました。
捕鯨の禁止されていることから、アンバーグリス(龍涎香:りゆうぜんこう)は希少性が高く、アンブロクサン等の合成香料で代替されています。
※アンバーグリスはマッコウクジラが消化できなかったエサを消化分泌物により結石化させ、排泄したものとも考えられていますが、その生理的機構や意義に関しては現在も不明な点が多い※
※マッコウクジラから排泄されたアンバーグリスは、水より比重が軽いため海面に浮き上がり海岸まで流れ着いたものを偶然に入手したものが大半です※
アンバーグリスの特徴としては、
1. 甘く、パウダリーで、ほのかに塩気を感じる独特の香りがして、ムスクのような動物性の香りが特徴です。
2.マッコウクジラの腸内で生成されるため、非常に希少な物質です。
3.海水中で長い年月をかけて熟成することで、その香りが変化し、より深みのある香りへと変わっていきます。
4.高級香水の原料として、香りの固定や深みを与えるために使用されまた、漢方薬としても利用されてきました。
5.質の高い場合には数千万円から数億円ほどの高額で取引された事例がある。
アンバーグリスの歴史と文化としては、
中国では竜涎香(りゅうぜんこう)と呼ばれ、龍の涎が固まったものだと考えられていました。
また、古代からアラビアやインドなどで香料として利用されてきました。
希少性から非常に高価で、かつては"漂流する金"とも呼ばれていました。
現在は、天然のアンバーグリスを入手するのは非常に困難なことから、天然のアンバーグリスの代替品として、人工的に合成されたアンバーグリスも存在します。
アンバーグリスは、その希少性と独特の香りから、古くから人々を魅了してきた物質で、高級香水に使用されるなど、現代でもその価値は高いものがあります。
米国の作家ハーマン・メルヴィル(1819~1891)の小説『白鯨』第92章には、章題が "Ambergris" とあり、その内容もマッコウクジラの解体時に龍涎香を入手する様子を詳しく描写しています。
切手は2002年ニューカレドニア発行の「海洋生物切手」で、マッコウクジラの親子(左切手)、マッコウクジラに追いかけられて墨を吐き逃げるダイオウイカ(中央切手)、マッコウクジラに食らいつくダイオウイカ(右切手)が描かれています。
切手は1984年米国発行の「作家切手」で、ハーマン・メルヴィルが描かれています。

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