この地球上には多くのウイルスが存在しています。

今回はこれら数多く存在するウイルスに焦点を当てて、切手に描かれたウイルスを紹介していきますのでお付き合いいただければ幸いです。

第1回目は、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)についてです。

SARSは2002年11月16日に、中国南部広東省で非定型性肺炎の患者が報告されたのに端を 発し、北半球のインド以東のアジアとカナダを中心に、32の地域や国々へ拡大した。中国では初期に305人の患者(死亡例5人)が発生し、2003年3月 の始めには旅行者を介してベトナムのハノイ市での院内感染や、香港での院内感染を引き起こしました。

サーズ(重症急性呼吸器症候群)は、2002年から2003年にかけて世界的な流行を引き起こしたウイルス性感染症です。サーズは、コロナウイルス科に属するSARSコロナウイルス(SARS-CoV)によって引き起こされます。

サーズの初期の症状には、発熱、咳、倦怠感、筋肉痛、関節痛などがあります。重症化すると、肺炎や呼吸困難などの症状が現れることもあります。感染は、感染者からの飛沫感染や接触感染によって広がります。

2002年から2003年にかけてのサーズの流行では、世界各地で8,000人以上の感染者が報告され、約800人の死者が出ました。この流行は、国際的な警戒と対策を呼び起こし、感染症対策の改善に寄与しました。現在は、SARS-CoVの流行は終息し、感染はほとんど報告されていません。

ただし、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるCOVID-19という別のコロナウイルス感染症が世界的なパンデミックとして現在進行中です。SARS-CoV-2は、サーズとは異なるウイルスであり、感染経路や症状も一部異なります。COVID-19に関する最新の情報や対策は、保健当局や世界保健機関(WHO)のガイドラインに従うことが重要です。

サーズ(重症急性呼吸器症候群)の流行が終息した主な理由は、以下の要因が組み合わさった結果と考えられています:

感染拡大の制御策: サーズの流行時、国際的な警戒と協力が行われ、感染拡大の制御策が急速に展開されました。感染者の追跡、隔離、患者の医療管理、感染予防策の徹底などが行われました。この積極的な対策により、感染の連鎖が断たれ、感染者数が減少しました。

感染源の特定と制御: サーズの原因となるSARSコロナウイルスの特定が行われ、感染源となる動物(コウモリやシベットキツネなど)の取引規制や監視が強化されました。これにより、ウイルスの再発や新たな感染源からの感染リスクが低下しました。

感染拡大の速度と病原性の低下: サーズは感染力が高いウイルスでしたが、一度感染すると比較的早く症状が現れるため、感染者を早期に特定し隔離することが可能でした。また、ウイルス自体の変異や減弱も起こり、感染力や病原性が低下した可能性もあります。

国際的な協力と情報共有: サーズの流行時、世界保健機関(WHO)を含む国際的な保健機関や研究機関が情報共有や協力を行いました。これにより、迅速な対策や研究が進められ、感染拡大の抑制に貢献しました。


2003年5月、中国国家郵政局が発行したSARS(新型肺炎)の文字を図案化した特別切手。「心を一つにして新型肺炎と闘おう」というスローガンが書かれています。


サーズ.中国.2003


切手はシンガポール発行の「ナショナルデー切手 サーズに打ち勝つ」で、子どもたちの検温光景と医療従事者による検温光景が描かれています。



サーズに打ち勝つ.シンガポール.2013