ピンク・トライアングル(pink triangle)は、ホロコーストで強制収容された男性同性愛者に装着が義務づけられていた三角形の識別胸章でラベンダー・ピンク色をしていたことからこの名が付けられました。
ドイツのワイマール政権下では男性同性愛者はドイツ刑法第175条のもとで違法とされていましたが、ドイツ人同性愛者権利活動家たちは、同性愛を非難した社会的姿勢を改善するための運動において世界的なリーダーとなりました。
ところが1933年に政権を握ったナチスは、ドイツ人男性同性愛者の迫害に拍車を掛けその迫害は、同性愛者組織の解散から強制収容所への収容にまで及びました。
ナチス・ドイツは、同性愛者を「劣等な種族」と見なしており、1935年に「同性愛者を保護するための法律」を制定して同性愛行為を犯罪化し、同性愛者を逮捕・収容するようになります。
ピンク・トライアングルを着用させられた同性愛者は、他の収容者と同じように、過酷な労働や拷問、虐待を受け多くの人が殺害されます。
戦後、ピンク・トライアングルは、同性愛者の迫害や差別の象徴として、LGBTQの権利運動のシンボルとして用いられるようになります。
1970年代には、アメリカのLGBTQ活動家が、ピンク・トライアングルを象徴として採用し、1980年代には、ヨーロッパでもピンク・トライアングルが広く用いられるようになっていきます。
現在では、ピンク・トライアングルは、LGBTQのプライドや権利を象徴するシンボルとして、世界中で知られています。
※LGBTQは、性的マイノリティの方を表す総称の1つで以下の頭文字をとった造語です※
(L):Lesbian(レズビアン):女性同性愛者
(G):Gay(ゲイ):男性同性愛者
(B):Bisexual(バイセクシュアル):両性愛者
(T):Transgender(トランスジェンダー):心と体の性が異なる人
(Q):Queer/Questioning(クィアまたはクエスチョニング):性的指向や性自認が定まらない人
ナチスにより数千人から数万人の同性愛者が逮捕され、迫害されたと考えられていますが、収容所で死亡した同性愛者の数に関する統計は残っていません。
切手は2006年オーストラリア発行のシンデレラ切手の中の一枚で、「ピンク・トライアングル」が描かれています。
※シンデレラ切手(Cinderella Stamp)とは、その国の郵便局が出した正規の切手ではなく、切手に極めて似通った形状を持つプライベートな切手で特殊な環境下で切手と同じ利用をされます※
シンデレラ切手は、正規の切手と比べると、発行枚数が少なく、希少価値が高いものが多くあるため、コレクターの間で人気があり高値で取引されることもあります。
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