地中海の港に停泊した大型帆船から、積荷や乗客に紛れて上陸したネズミたちには、恐ろしい病原菌をもつノミが寄生していました。
同じことがヨーロッパじゅうの港で繰り返された結果、1347年から1351年にかけてヨーロッパを襲った"黒死病のパンデミック"は史上最悪の規模となり、ヨーロッパの人口の3分の1が命を落としたと記録されています。
この黒死病の正体がアジアとヨーロッパで周期的に流行する腺ペストだったことに、ほとんどの歴史学者が同意しています。
皮膚が黒くなる特徴的な症状から「黒死病(Black Death)」と呼ばれ恐れられました。
腺ペストはペスト菌が引き起こす疾患で、6世紀にビザンチン帝国(東ローマ帝国)で大流行して2500万人の命を奪った「ユスティニアヌスの疫病」も同じものでした。
14世紀の黒死病の流行の後も大勢のヨーロッパ人がペストによって命を落とし、1665年の英国ロンドンでの流行は特に規模が大きく悲惨でした。
最後となる三度目のパンデミックは19世紀半ばに始まり、20世紀まで続くことになります。
黒死病は、中世イタリア、フィレンツェの詩人ジョヴァンニ・ボッカッチョ(1313~1375)の『デカメロン(十日物語)』、『ロビンソン・クルーソー』で有名なイギリスの作家ダニエル・デフォー(1660~1731)の『ペスト』、フランスの小説家、劇作家、哲学者アルベール・カミュ(1913~1960)の『ペスト』をはじめとして、多く語りつがれています。
切手は2020年シエラレオネ発行の「パンデミックの歴史小型」の中の一枚で、中世の黒死病(1347~1351)が描かれています。
切手は1960年ルーマニア発行の「1960年文化の日記念切手」の中の一枚で、デフォーの肖像が描かれています。


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