昔々昔、今のワルシャワがまだ小さな村だった頃のことです。

村にはそばを流れるヴィスワ川の恵みで生活していた漁師が多く生活し、ヴィスワ川には魚だけでなく、美しい金髪の人魚が住んでいるといわれていました。

彼女の歌声はこの世のものとは思えない美しく心に深く入り込み人も動物も誰もが聴き惚れました。

人も動物も歌を聞くために集まりじっと聴き惚れました。

この人魚に目を付けた悪徳商人が、一儲けするために彼女を木箱に閉じ込めてどこかに連れて行こうとしました。

囚われて悲嘆にくれる人魚の悲しい歌声は、水の流れにから川面のもや、そして水辺の草に絡まるように広がって行きました。

かずかに聞こえる悲しい声で窮地を知った村の若い漁師は、悪徳商人の企みを見破って美しい声の主を救いだし、川へと帰してやりました。

自由になった人魚は助けられた恩に感謝して、いつかワルシャワが危機に見舞われた時には今日の御恩を忘れずに馳せ参じて守ることを約束すると言いながら、ゆっくりと水の中に消えてゆきました。

その約束を守るために、今でも人魚は剣と盾を手にしてワルシャワの街を変わることなく守ってくれているのです。

ワルシャワの旧市街広場には剣と盾を持つ人魚の像が佇んでいます。

切手は1955年ポーランド発行の「ワルシャワのモニュメント切手」の中の一枚で、剣と盾を持つ人魚が描かれています。


ワルシャワの人魚.ポーランド.1955