肺循環によって、二酸化炭素を含んだ血液が肺に運ばれて酸素を吸収し、二酸化炭素を放出する心臓と肺の間の血液循環を肺循環といいます。
ミカエル・セルベトゥス(1511~1553)は、スペインの医師であり神学者でもありました。
彼は科学的な好奇心から,人体の仕組みを理解しようと解剖も行ないヨーロッパ人として初めて血液の肺循環について説明し1553年、著書『キリスト教の復興』の中で「右心室の血液が肺動脈を経由して肺に行き、吸気によって取り込まれた空気と血液が交じり合い、肺静脈を経由して左心室に戻ってくる」との肺循環を明らかにしました。
この記述は,ウィリアム・ハーベーが循環系全体を説明する75年前になされました。
当時のヨーロッパではガレーノスの循環説で「血液は右心室から心室中隔を通って左心室に入る」という説が絶対であったことから、セルヴェトゥスの説はガレーノスの権威を否定し、神学を批判するものとの烙印を押され、異端者として宗教裁判にかけられ、1553年に火あぶりの刑に処せられました。
そして、彼の著書『キリスト教の復興』は、没収され焼かれましたが、かろうじて3部が後世に伝えられました。
この残された3部が17世紀に見直され、セルヴェトゥスの肺循環説が広く紹介されることになります。
切手は1977年スペイン発行の「文化人切手」で、セルヴェトゥスの肖像が描かれています。
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