その後リスターは、精力的に研究を続けて、手術者の手指、患者の患部、手術機器、包帯などの材料すべてを石炭酸で消毒し、手術室の消毒にも石炭酸を噴霧し、術後の創傷感染防止に努め、1871年には石炭酸の自動噴霧器を考案しました。

そして手術前には手術室に石炭酸を噴霧後手術を行いましたが、1887年には石炭酸の毒性を認め、手術室への噴霧は中止するに至りますが、石炭酸による手指や器具などの消毒は続けました。

彼の石炭酸による消毒法により、術後の創傷の化膿を激減することに成功します。

彼の創始した「防腐手術」は、本国イギリスで他の研究者達の猛烈な反対にあい追随する者はありませんでしたが、皮肉にもフランス、ドイツなどの国外では、彼の「防腐手術」は高く評価され多くの施設で取り入れられ、今日の無菌手術の基礎が確立されることになります。

長くイギリスでは日の目を見なかったリスターの業績は、徐々に見直され時のイギリス国王・エドワード7世が虫垂炎の手術の際にリスターを指名するほどになります。

余談ですが当時は、虫垂炎の手術さえも術後の創傷感染で多くの人が死亡していました。

リスターはエドワード7世の手術の成功により、男爵位を受けることになります。



切手は1965年イギリス発行の「リスターの滅菌開始100年記念切手」で、リスターの考案した「石炭酸噴霧器」が描かれています。




リスターの噴霧器.イギリス.1965



切手は1977年ベナン発行の「赤十字切手」で、リスターの横顔とともに彼が考案した「石炭酸噴霧器」が描かれています。



リスターと噴霧器.ベナン.1977