19世紀中ごろには産褥熱発生数が極めて多く、産婦の死亡率も高かった。

そのために生まれてきた子供を抱くことなく多くの母親が命を落としていました。

手洗いなどの消毒法の先駆者として知られ、「母親たちの救い主」とも呼ばれています。

ハンガリー出身の医師イグナッツ・フィリップ・ゼンメルワイス(1818~1865)は、「産褥熱は接触感染の病気であり、医療従事者に手の消毒を義務づけることでその発症率を激減させることができる」 ことを証明した人物です。

彼は『産褥熱の原因と概念およびその予防法』を出版し、産褥熱の予防法を確立したゼンメルワイスですが、当時の学者や医師たちはことごとく彼の消毒法をことごとく無視し続けました。

しかし、彼の消毒法に注目した医師もいました。

彼の論文は、イギリスの外科医ジョゼフ・リスター(1827~1912)に読まれ、手を消毒することで細菌感染を予防するという消毒法がもたらされることになります。

彼の革新的な消毒法は学会で受け容れられず、ウィーン総合病院を追われ、ハンガリーのペスト大学に移ったが、ここも追い出されることになります。

医師としての立場を失うと、精神のバランスを崩しウィーン総合病院の精神科病棟に入院して失意のうちにこの世を去ります。 

どの時代でも画期的な発見や創始は日の目をみることが少ないのが現実です。



切手は1992年トランスカイ発行の「医学者切手」で、ゼンメルワイスの肖像と共に塩素水で手を洗う彼の姿が描かれています。


ゼンメルワイス.トランスカイ.1992


切手は1954年ハンガリー発行の「科学者切手」で、ゼンメルワイスの肖像と共に産婦の横で新生児を抱き上げる彼の姿が描かれています。



ゼンメルワイス.ハンガリー.1954