1804年10月13日、華岡青洲(1760~1835)は、通仙散(別名麻沸散)を使って世界初となる全身麻酔をおこない、60才の女性の乳がん手術に成功しました。
この偉業は米国で行われる40年以上前に成し遂げられています。
この偉業の影には過去の麻酔薬の処方を改良し、延べ十数人のボランティアの協力を得て有効性と安全性を確かめ、更に母親と妻が投与試験に参加したとも伝えられています。
彼の苦難の研究は、和歌山出身の作家有吉佐和子(1931~1984)の『華岡青洲の妻(1966年出版)』という小説に描かれ幾度も映画(1967年大映 主演市川雷蔵、テレビドラマ(6回)、舞台化(29回)されています。
この小説によって華岡青洲の名前が一般に知られるようになったのです。
実母の於継と妻の妹背加恵が実験台になることを申し出て、数回にわたる人体実験の末、於継の死、加恵の失明という大きな犠牲の上に、全身麻酔薬「通仙散」は完成します、しかし母と妻が投与試験に参加したことを裏付ける資料は見つかっていません。
華岡青洲が世界で初めて全身麻酔に成功した日を記念して、日本麻酔科学会は10月13日を「麻酔の日」と制定しています。
1967年10月28日に公開された「華岡青洲の妻」のDVDジャケットで、華岡青洲(市川雷蔵)、青洲の於継母(高峰秀子)、青洲の妻加恵(若尾文子)、監督増村保造のモノクロ作品です。
姑と妻の葛藤と青洲に寄せる愛を鋭く描いた作品です。
今から54年も前の作品ですが、必見の価値は十分にありますので、是非ともご鑑賞下さい。
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