古代ギリシャ文明を衰亡させた「アテナイの疫病」は、極めて悲惨な状況であったことが記録に残されています。
古代のアテナイ(現代のギリシア首都アテネ)で紀元前430年頃に起こった感染爆発で、古代ギリシャの歴史家トゥキュディデス(紀元前460年頃~紀元前395年)が『歴史』の中で、当時のエピデミックの悲惨さを、生々しく記述しています。
人々はただ多々神殿に助けを求めてつめかけ、神にすがるとか方法はなかったとされています。
人口の3分の1近くが死亡しています。
この文明の様相を変えるほどの惨禍な状態を引き起こした病は、ペストと考えられていましたが、現在ではこのペスト説は否定されて発疹チフス、天然痘と並んで有力な候補に挙げられているのが麻疹(はしか)との説が有力視されています。
どのような感染症も免疫のない土地では凶暴な様相を見せつけ、人々は次々と感染して死亡していきます。
この爆発的な感染症の流行でアテナイが滅びさっていません。
エピデミックの最中、アテナイは強大な軍事国家スパルタと戦争中でしたが、感染症がアテナイの敗北を直接的に決定付けたわけでもなく、病原体に対する対抗手段が皆無な状況でも、自然と収束していったのです。
極限まで社会秩序が崩れた古代のアテナイもパエピデミックから徐々に回復していったことは、現代社会のパンデミックも、いずれ必ず克服されることを意味していると思います。
【パンデミックとエピデミックの違い】
○パンデミック(pandemic)とは、感染症の世界的大流行を意味します。
○ピデミック(epidemic)とは、ある地域で短期的に感染症が流行することを意味します。
要するにエピデミックがさらに広がるとパンデミックになると言うことです。
切手は1998年ギリシャ発行の「古代ギリシャの作家切手」の中の1枚で、トゥキュディデスの彫像が描かれています。


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