セイヨウミツバチは、ヨーロッパやアフリカ・中央アジアなどを原産地とする蜜蜂で、ニホンミツバチはもともと日本列島に住んでいた在来種です。

スーパーなどの店頭に並んでいる商品や、加工食品の原材料に使用されているハチミツのほとんどが、セイヨウミツバチのハチミツです。

プロポリスは、ミツバチが木の芽や樹液などから集めた樹脂状のもので、蜂ヤニとも言われます。

しかし、ニホンミツバチはプロポリスは集めません、プロポリスを集めるのはセイヨウミツバチです。

セイヨウミツバチは、ローヤルゼリー・プロポリス・蜜蝋・蜂蜜を作りますが、ニホンミツバチは蜜蝋と蜂蜜しか作りません。

プロポリスやローヤルゼリーを作らないニホンミツバチの蜂蜜は、セイヨウミツバチにない風味のある蜂蜜を作り出します。

ニホンミツバチの蜂蜜は、プロポリスが含まれていないので、プロポリス特有の匂いと味がなことから、食べやすい蜂蜜なんです。

プロポリスを集めるかどうかも、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの違いの1つです。

セイヨウミツバチの胴体はオレンジ色ですが、ニホンミツバチは黒っぽい色をしていて、大きさはセイヨウミツバチのほうが若干大きいです。

しかし、どちらかのミツバチだけをみると、色も大きさもなかなか区別することは難しいです。

セイヨウミツバチは、一度巣を形成すると、少々環境が悪くても粘り強く同じ巣を使い続ける傾向がありますが、ニホンミツバチは、巣の周りに食べ物がなくなったり、気温が変化したり、巣箱を何回も開けられるといったストレスが与えられると、現在の巣を放棄してみんなで別の巣に引っ越ししてしまいます。

そのことからして養蜂家にとっては、ニホンミツバチの飼育は、急にハチがいなくなってしまうリスクを負うことになることから一般的には、セイヨウミツバチの方が一つの巣から取れる蜜量が多いのも利点ですから、セイヨウミツバチが多く飼育されています。

ミツバチの天敵であるスズメバチは、越冬する多数の女王バチを育てるためにその巣では、多くの餌が必要となることから体が大きく獰猛なスズメバチがミツバチの巣を襲う行動がしばしば観察されます。

スズメバチに対抗する手段は、ニホンミツバチだけがもっている技です。

ニホンミツバチがかたまり、高温になる蜂球(ほうきゅう)を作ります。

蜂球は、名前の通り、複数のニホンミツバチが、スズメバチを取り囲み、ハチの団子になった状態を言います。

スズメバチは蜂蜜をつくりません!!

一匹のスズメバチを取り囲むために400匹ほど集まったニホンミツバチは、それぞれ胸の筋肉を震わせて体温を上昇させることによって、蜂球の中心部分を46℃以上にします。

スズメバチの致死温度が約45℃ですから、ニホンミツバチの致死温度が49℃であることから、スズメバチだけを熱で殺すことができます。

さらに蜂球内の二酸化炭素濃度は、外気よりも遥かに高く、そのことも、スズメバチを短時間で殺すことに寄与していると言われています。

近年、セイヨウミツバチでも、稀に蜂球が見られることが明らかになりましたが、セイヨウミツバチの蜂球は、中心部分の温度がニホンミツバチよりも上がらず、スズメバチの致死温度に達しないことが多いようです。

セイヨウミツバチは、体が大きく獰猛なスズメバチに1匹つづ立ち向かい、やがては全滅してしまいます。

したがってニホンミツバチのようにスズメバチへの対抗手段を持たないセイヨウミツバチは養蜂家が守らないと全滅してしまいます。

オオスズメバチのいないヨーロッパ由来のセイヨウミツバチには、オオスズメバチに巣を襲われた際の対抗手段がなく、人間に守られなければたちまち巣ごと餌食になってしまうのです。

ところが、オオスズメバチと共生しなければならないニホンミツバチは、進化の過程で彼らの攻撃を跳ね返す有効な技を発達させきたわけです。

生物の進化は素晴らしいものですねぇ。



切手は1999年イラク発行の「イラク養蜂家協会切手」で、セイヨウミツバチが描かれています。



セイヨウミツバチ.イラク.1999


切手は1985年日本発行の「世界養蜂会議記念切手」で、いちごの花粉媒介をしているニホンミツバチが描かれています。



ニホンミツバチ.1985


切手は2013年ニュージーランド発行の「ニュージーランド養蜂家協会設立100周年記念切手」で、セイヨウミツバチの巣箱が描かれています。



セイヨウミツバチの巣箱.ニュージーランド.2013